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GEAR戦士電童サイドストーリー 『C-DRiVE ラジオデビュー!!』

<OP>

 ラジオから流れる『HEART DRIVE』。
「うおぉ〜、待ってましたぁ!」
銀河は小さくガッツポーズ、ラジオに食い入るように聴く体勢に入る。
『C−DRiVEの、ハートドライブ・ラジオ!!』
3人の元気の良い声に、にんまり。
『みなさんこんばんは』
『さて、ついにスタートしちゃったこの番組ですが。う〜ん、ドキドキするぅ』
「オレもオレも」
『他のラジオ番組にゲスト出演したことはあるけど、今回は私たちがメインパーソナリティだもんね。緊張しまくってます、もぅガチガチ』
『今日が初めての放送なんだよねー、私、また失敗しちゃいそうだよ〜』
「ユキちゃん、ガンバレー」
『あはは、ユキの失敗はいつものことじゃない、ヘーキヘーキ』
『そうだよ、ファンのみんなもユキが失敗するの、きっと期待してるって』
『あ〜、2人ともひどいー、ぶぅ』
『あははは〜〜』
「そうだ、ひどいぞぉ」
いちいちラジオにツッコミを入れることも忘れない。
『なぁんて、いつもの調子でお贈りしますこの番組、まずは私たちの第2弾シングル、『Brand New Mermaid』、聴いてください』
「あおぉい、翼広げぇ、あなたとぉ、ぎぃんがに舞ぅ〜〜♪」
やや調子はずれな声で、ラジオにあわせて歌う銀河。
「いやぁ、やっぱりいいなぁ、C−DRiVE最高!」
どこまでもご機嫌な銀河だが……。
「うるさいよ、銀河!」
階下から、みどりの声。ヤバッ!という顔でちぢこまるが、声を落とすだけで歌うのはやめないあたりが、銀河、ファンの意地を見せている。
「……ふぅ、危ない危ない」
どうやら、それ以上の追求の手は伸びない様子で、ほっと一息。
『私達の初めてのライヴでも披露したこの曲、いかがでしたか?』
『あのライヴのときも、今日みたいにドキドキしたね』
「ライヴ……、あぁ、ユキちゃんの手が、オレの頭を……」
なんだか別のことで、クネクネしながら妄想し始める銀河。

<収録>

今日は、初めてのラジオ収録。
オーディションにレコーディング、ライヴのときもそうだったけど、スッゴク緊張した。
レコーディングのときとはちょっと違った雰囲気で、私たちのいるブースからガラス1枚隔てて向こう側には、古里さんや、レコーディングのときお世話になった野崎さんのほかに、知らない人が何人か来てた。
ちょっとした合間に島田さんに聞いてみたら、サンライズエンタテインメントの偉い人らしい。
そんな偉い人を怒らせちゃったらどうしようって、ずっとビクビクしてたけど。
収録の間、終始ニコニコ笑ってご機嫌だったみたいで一安心。
やっぱり、若い女の子3人てのが良かったのかな?(笑)
とはいえ、収録は最初からハプニングの連続。
とにかく最初の最初、タイトル読みからうまくいかない。
「C−DRiVEの、ハートドライブ・ラジオ!」
たったこれだけのことなのに、歌や踊りみたいにはうまくいかない。
「ん〜、そろわないねぇ、も一回、いってみようか」
古里さんの声も、心なしか硬くなってくるし。
サキもユキも焦ってるみたいで、心なし表情が硬い。
ここはリーダーとして、ナントカしたいところだけど。
私自身いっぱいいっぱい、ウィンクして「さ、ガンバロ」って言うので精一杯。
でも、これが良かったみたいで、そのあと何回かやってどうにかクリア。
出だしからこれじゃあ、先が思いやられるよぉ……。
トークも時間が決まってて、なかなかその中におさまらなかったり、足りなかったり。
なによりも、ずっとしゃべりつづけるのがこんなに難しいなんて、思ってもみなかった。
いつもおしゃべりしてるみたいには、口から言葉が出てこない。
「はいはい、間があいてるよー、しゃべってしゃべって」
古里さんの声に、なんとかしゃべってみようとする私たちだったけど……。
「えと、そう、この前のライヴ。楽しかったよねぇ」
「あの時は、えーっとぉ……」
「今後『えーっと』って言ったら、罰金にしよう」
あぁ、にこやかな古里さんがコワイ……。
「はぁ〜い」
乾いた笑いで応えたけど、苦難の道のりは、まだまだ続いてしまうのだ。
「みなさんこんばんは」
『ゴンッ』
突然の大きな音に、ブースの中の私たちは1人をのぞいて何が起こったかわからない。
「あたたた……」
どうやら、いっしょにお辞儀をしたユキが、マイクに頭をぶつけたらしい。
「こらぁ、ユキちゃん。マイク壊れちゃうよ」
苦笑いしながら、古里さん。
「ご、ごめんなさぁい」
なぁんて、お約束もお約束なハプニングもあったり。
このあとも予想できるものできないもの各種取り混ぜて、盛りだくさんのハプニング。
収録が終わった頃には、3人とももうヘロヘロで。
こんなんで、毎週やってけるのかなぁ……。

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story by Shin Wakutsu
※文章は当時のものです。

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