エリスがオカンムリということなど露知らず、銀河はラジオにご執心。
3回目ともなると、もう慣れたもので。
毛布をかぶって完全武装、音モレ対策もばっちり、といったところ。
『CM関係も、おもしろいこと多いよね』
『CDシングル発売の時は、取材に来た記者さんたちが、CM用にって応援メッセージを入れてくれたし』
『なんか、半分ファンの人みたいだったよね。あわててセリフかんじゃったり』
『逆に妙に手馴れてる人とかいて、変な気分だったりして』
『そうそう、声がいいんだよね、声優さんみたい』
「お、おれも出る! 北斗の父ちゃんに頼んで、どうにかならねぇかなぁ……」
こういうときは頭の回転が速いようで、勝手に計画が進行している様子。
『新曲のプロモーション撮影も、おもしろかったよねぇ』
『そうそう、この時期に水着って聞いたから……』
『てっきり海外で撮影!だと思ったのに。……ねぇ?』
「え、あれって、海じゃなかったのか?」
『スタジオに連れて行かれたときは、なんでー?って思わず叫んじゃったもん』
『ハイ、そういうわけで。あのプロモ映像、実は合成でした〜☆』
『でもでも、おもしろかったよねぇ』
『青い紙の前に立たされて、「ハイ、ここは太陽の降り注ぐ南の島の海岸です〜」って』
「青い紙……? 変なの、どうやったらあぁなるんだよ」
おそらく説明されてもわからないことにも、しっかり疑問を投げかけるあたり、ホントに律儀である。
『最初はどうすればいいのよ〜って、困っちゃったけど』
『いろいろ言われてるうちに、けっこうその気になっちゃって』
『カメラマンさんて、その辺うまいよねぇ』
『うん、おかげですっごく楽しく撮れた』
『あとで映像見せてもらって、ビックリしたよ』
『ぜんぜん違和感ないんだよね、スゴイなぁCGって』
「うんうん、オレも気づかなかった、スゲーなぁ、シージー」
『今度はロケに行きたいね、今の季節なら……スキーとか?』
『あー、いい! 島田さんにお願いしちゃおう』
『写真集とかかな? お仕事、待ってます☆ あははは〜』
「スキーかぁ、オレも行けるように、今から用意しておかないと……」
いつのまにか、さらなる計画が進行した模様。
一途にファンでいようというあの誓いは、しっかり実行されているのであった。