第三章
「トモダチ」
(後編)
* * *
「ケイト・出雲です。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げたケイトは、クラス全員の大歓声を浴びた。
一見して日系ではない、とわかる顔立ちだが、それを気にする者は誰もいない。現代の中学校なら多くがそうであるように、星見第一中学校もまた、日本籍の有無を問わず、韓国系やアメリカ系、アラブ系等々、様々なルーツを持つ子供たちであふれている。ルリタニアの血を引いていて、北海道で育った出雲のいとこ、というケイトの“設定”はすんなりと受け入れられた。
休み時間になると、ケイトの机の周りは生徒たちで埋まり、様々な他愛のない質問、何が好きか、もう星見町には慣れたか、等々の質問が飛び交っていた。
それらの質問に、ケイトは割と不自然さなく答えていった。
前日まで、銀河の母と祖父の指導よろしきを得て予習しておいた成果である。
「良かったぜ、ボロが出なくてよ」
少し離れた席で、銀河はほっと胸をなで下ろしていた。
「大変だったんだね」
「大変も大変」
北斗の問いに、銀河は首を大げさに振ってみせる。
「何しろ、ケイト自身どこから来たか覚えてねえだろ? だもんだから、とりあえず北海道の田舎から出てきたんだってことにしたんだ。それなら覚えること少なくてすむからってさ。そしたら爺ちゃんが北海道の資料を揃えてやたらディテールに凝り出して……」
「銀河のお爺さん、報道関係の人だもんね。そういうのうるさそう」
エリスの言う通りだった。
出雲源太郎はかつては報道の神様と呼ばれたマスコミの有名人で、今でもコメントを取りに来る関係者がいるほどの存在である。なんでも祖父のスクープで政権が揺らいだことも一度や二度ではないらしい。そんな人だから、突然ふって沸いた“孫”の設定を作り込むのが楽しくてたまらない様子なのである。
「ケイトがそういうのいやがらなくて良かったぜ、ほんとに」
どうやらケイトはそれが何であれ、情報を取り入れるのが好きらしく、自分の“設定”を覚えることにも不愉快さはないようだった。
「じゃあ、今のところは何事もない感じ?」
「お、オウ。もうまったく何事もないぜ」
エリスの問いに、銀河は我知らず頬を赤らめた。
なぜ見慣れた少女の問いに、自分が狼狽してしまうのかわからなかった。
エリスとふたりは、ガルファ戦役以来のつきあいである。
アメリカのMITを優秀な成績で卒業した天才少女であるエリスが、データウェポンのお目付役として星見町に派遣されてきてから、ずっと三人は一緒にいる。あの戦いをくぐり抜けたという戦友としての友情が、そこにはある。
だが、そのトモダチであるはずのエリスに、「同居生活に何事もないのか」と聞かれると、なぜか戸惑ってしまうのである。
なぜなのか、と言われるとわからない。
いやそれどころか、これまで気にならなかったエリスの顔立ちや髪のつややかさまで、妙に気になってしまうのである。
なんだこれは。
わからないまま、当惑のうちに銀河はその日の授業を終えたものである。
* * *
そこはまるで、崇拝者の絶えた古代の神殿のようだった。
螺旋城、暴走したC-89の内部である。
吉良国はD兵器に乗り、部下たちとその回廊を歩いていた。
回廊と言っても、元々ガルファの巨大ロボットたちが往来することを想定したサイズであるから、D兵器が並んで歩くことに問題はない。むしろ人間の脚でここを訪れていたら、広くて閉口したことだろう。
「動体反応ありません。エネルギー反応も」
部下のひとり、ナイジェリア人のハキム・カシムがそう言った。センサー担当だ。
「すると、こいつらはブッ壊れてるのか。そうだよな」
列柱の影に建ち並んでいるのは、いずれもガルファ素体である。そのすべてが、ガルファ皇帝からの命令系統を失い、単なる物言わぬ人形と化していた。おそらくはこのまま永遠に、ひょっとしたら宇宙が終焉するその日まで、ただ眠り続けるはずの機械群。
そのはずなのだ。
ではなぜあの日、この螺旋城は起動したのか?
吉良国は列柱の奥にたつ、ひときわ巨大な影を見た。
螺旋城の主、と呼ばれる制御ユニットである。
もちろん、この主も、その周囲に侍る機士たちも、目覚めることはない。
吉良国は、いくつかの監視ユニットを仕掛けると、その場を後にした。
残念だが、今の彼らにできることはなにもないのだ。
* * *
星見第一中学校は、高台にある。
昔はお城だったのが、中学校と公立高校になったものである。
その長い坂道を、星見町へと降りていくのが、銀河たちの日課である。だが、今日はいつもの三人に加えて、ケイトの姿があった。
「どうだった? 学校はよ」
「楽しかった!」
ケイトは目をきらきらと輝かせていた。
素晴らしいことである、と銀河は思う。宿題忘れの常習犯であり、落第生に近い身としては、できることならそうありたいものだ、と考える次第である。
実際、授業中のケイトは教師たちを質問攻めにしていた。
なぜこうなるのか、その言葉はどういう意味なのか、この問題にはどういう意図があるのか……まるで生まれて始めて学校に来た子供のようであったが、といってまるで空気が読めないというわけでもない。確かにその質問は鋭く、核心を突いたものであったのだ。
(アタマがいいんだな)
と、銀河は考える。
アタマがいいので、物事の本質が気にかかるし、そこに切り込むのが楽しいのだろう。自分の父親がそのタイプなので、なんとなくわかるのだ。まあ、それを四六時中やっていたら嫌な人もいるだろうが、幸いなことに銀河の家庭には、物事を解説することが好きでたまらない祖父がいる。当分は祖父に任せておけば、面倒を見てくれることだろう。
「良かったよ。ケイトが学校を気に入ってくれて」
「うん! 私、銀河のことも、北斗のことも、エリスのことももっと知りたいの」
「ボクたちのこと?」
「うん!」
もう一度ケイトは強くうなずいた。
「私、キミたちのことをもっと知りたい。そのためにここに来た気がするの」
聞きようによってはスパイのそれなのだが、こうあけすけに好意をさらけ出されては三人とも悪い気はしなかった。つまり、三人はある意味では地球の代表というわけだった。
「だったら、どっか行きたいとこねえか? どこでも案内してやるぜ」
「どこでも?」
ケイトは首をかしげた。
「聞き方が悪いよ、銀河」
「そうか?」
「だって、ケイトはこの街に何があるかそもそも知らないんだよ。そんな状態でどこにでも、って言われたって困るでしょ」
北斗の指摘はもっともだった。
確かに銀河だって、知らない外国で「どこに行ってもいい」と言われても困ってしまうことだろう。
「僕らのほうでアテンドしてあげたほうがいいよ」
「そりゃそっか。どこがいいかな……」
悩むのなら星見野アミューズメントパーク、というのが相場なのだが、あいにくとパークはギアの組織再編の影響で大改装中だった。地下に埋まっていたギアの本部施設がまるごと移動し、完全に遊園地として再始動することになったためである。
「だったら、渓流釣りはどう? 私、最近ハマってるの」
エリスが手を叩いた。この少女、運動はめっぽう苦手だが、釣りは大好きなのである。なんでも、普段プログラムばかり相手にしていると、無秩序で予測できない自然の相手をするのが楽しい、ということであるらしい。
「つり?」
ケイトは首を傾げた。言葉の意味がよくわからないようだった。
「ええと、河で泳いでる魚を釣って、みんなで焼いて食べるの。すっごく楽しいわよ。どう?」
「行ってみたい!」
ふたつ返事だった。
こういう素直さはとにかく人を嬉しくする。
それは銀河たちも例外ではなかった。
「うん、決まりだね! 次の日曜日でいいかな?」
「まかっとけ! よーし、たくさん釣るぞ!」
「じゃ、ケイトの服は私が用意するね」
「たのしみ!」
四人の笑い声が唱和して、夕暮れの空に吸い込まれていった。
* * *
暦の上では秋ということになっていたが、その日はともかく暑かった。祖父たちの時代は九月というのはもっと涼しかったらしいが、そんな時代のことは銀河たちは知らない。願わくばこれ以上地球が暑くならないことを祈るばかりである。エリスによればハイパーデンドーデンチのテクノロジーが民間にスピンオフされ始め、蓄電技術が向上したことで地球温暖化対策は大きく進展するであろう、ということだがさてどうなるか。
(その時代が来るのを見届けるまでは、オレたちが電童で地球を守らないとなあ)
妙にガラにもなく大仰なことを考えているのも、ぶっちゃけた話暑いからである。ひとまず目先のことから思考をそらしたいのだ。
大空を見上げる。
灼熱の日光ではあったが、空は透き通るように美しい。
白い雲が緑の山の稜線に消えて行く光景は、街ではちょっと見られないものだ。
星見町から少し離れた星見山の渓谷である。先ほど、家族連れがもう少し上流に行くと言って登っていったが、他には人に会っていない。エリスが言うには、機獣の襲撃があったので人出が減っており、このあたりは穴場なのだという。
「銀河、ちょっと手伝って」
「オウ」
北斗の呼ぶ声に答えて、銀河は河原のほうへ走った。
「そっち持ってて」
「これだな」
北斗が取り出したのは、トランク状のユニットだった。その持ち手を銀河がホールドし、北斗がボタンを押す。
「よいしょっと」
ボン! と音がして、ユニットが瞬時に膨れあがった。現われたのは、ブルーにカラーリングされた小型のテントだ。
「すげえな、こんなサイズのテントがあるんだ」
「ギアで開発したんだって、母さんが言ってたよ。遮熱性も高いし、太陽電池で簡単なエアコンも動かせるから、熱射病対策はばっちりさ」
北斗はメカ好きで、こういう細かいガジェットに強い。今回もベガを通して、色々なツールを借りだしてくれていた。大型のクーラーボックスもあるし、冷たい飲み物もある。
もちろん銀河だって遊んでいたわけではない。四人分の弁当の用意は彼の仕事だ。ほぼ父親不在の家庭で育った銀河は幼い妹の面倒を見つつ母親を手伝っていたので、家事全般に抜かりはなく、料理の腕も今やちょっとしたものだ。こちらもギアから借り出した保冷ボックスに入っているので、炎天下でも衛生的な心配はない。
「炎天下でも休める場所があるのはいいわね」
竿とシカケを用意していたエリスも満足そうだった。四人分の竿を借り出してきてくれたのは彼女である。傍らではケイトが作業を手伝っている。ケイトとて何もしていないわけではなく、エリスの荷運びを手伝ったり、銀河の弁当作りを手伝ったりと大活躍であった。
「じゃあ、餌をつけてやってみましょうか」
「餌は何を付けるんだ?」
「そのあたりにいる川虫でもいいんだけど、初心者は探すところからやるとあれだから。ここ数日は雨がなかったから、臭いの強いミミズより、扱いやすいブドウ虫を用意したわ」
「ブドウムシ?」
「ブドウスカシバ。ブドウの木を食い荒らす虫だからそう呼ばれてるの。もっともこれは養殖で、ハチミツガという似た虫の幼虫だけど。渓流釣りにはもってこいなのよ」
エリスはいそいそとイモムシのような虫を取り出した。実際、ブドウスカシバもハチミツガも蛾の一種なのでイモムシと言っても間違いではない。箱の中には、30匹ほどのイモムシがもぞもぞとしていた。
「うわっ、ボク、こういう虫苦手なんだけど」
「得意なやつはいねえよ、北斗!」
「キミたちにがてなの?」
怯える男子たちを尻目に、ケイトはブドウ虫に興味津々の様子だった。何もかも皆珍しいらしい。
「だって、だいぶデカいよこれ!」
「バイオテクノロジーで針につけやすいように大型化してるのよ。ちなみにホルモン操作の結果、サナギになることもできないわ」
「大人になれねえのか。なんかかわいそうだな」
銀河はまじまじと、指ほどもあるイモムシを見た。
「何言ってんの。成虫のハチミツガはミツバチの巣を食い尽くす害虫なのよ。そんなの繁殖させたら、周りの迷惑でしょ。釣りって趣味は自然とのバランスを考えなきゃいけないのよ」
「そんなもんか」
銀河はブドウムシをつまみあげた。だんだん可愛く思えてこないこともない。
「じゃ、針につけるわよ」
「針に!」
北斗が反射的に震え上がった。
覚悟を決めていたはずが、決まっていない様子だ。
「このイモムシを針につけるの……?」
「他にどんな用途があるの。ネイティブ・アメリカンには蛾の幼虫をあぶって食べる民族もいるらしいけど、私はやらないわよ」
「おいしいの?」
ケイトはそんな知識にまで興味を示した。まあ、どんな食文化にも偏見を持たないのはいいことだ。
「父ちゃんによると割とうまいらしいぞ。プリプリしてエビみたいな味がするらしい」
当然ながら銀河の父は各地の食文化にも通じており、銀河も昆虫食の話くらいは聞いていた。いや正確には家で何度か父が実演してくれたことはあるのだが、さすがに食べたことはない。
「ふーん?」
放っておくとケイトは生でイモムシを囓りかねない顔をしていた。
慌てて、話題を戻す。
「釣り針につけりゃいいんだな。刺せばいいのか?」
「そう。お尻から頭のほうに抜けるように刺して」
「ど、どっちがお尻なのかわかんないよ!」
「ばっかおめー、頭じゃないほうが尻だ!」
「なるほど! いや納得しちゃったけど説明になってないってば!」
かくのごとく。
大騒ぎの末に四人は針にエサをつけ、ギア特製のライフジャケットを着たことを確認すると、いよいよ渓流に乗り出していったものである。
* * *
残暑は厳しかったが、河の流れはきらきらとまばゆく美しかった。水の流れは速く、その流れが小さな岩にぶつかるたびに波頭が砕けて、ぱあっと白い光が広がるのだ。
釣果は、まあ、ぼちぼちというところ。
銀河とケイトはそれぞれ一匹ずつ。意外なところでエサにあれだけ大騒ぎしていた北斗が三匹でややリード。細やかな性格が釣り向きであるのかもしれない。
経験者のエリス自身は、まだボウズだった。
もっともこれは、糸を絡ませたり、エサの取り替えのタイミングがわからなかったりする三人をサポートしているからで、まあしょうがないことだと言える。
それでも、一時間ほどして、ようやくエリスの竿にアタリがあった。
「よしっ、と」
形のいいヤマメがぱしゃ、と水に体を躍らせた。
「すごい!」
ケイトが目を輝かせる。
が、エリスは針からヤマメを離すと、水に戻してやった。ヤマメは少し当惑していた様子だが、すぐに岩陰へと消えて行く。
「どうして逃がしちゃうの?」
「メスで卵を持ってたから。産卵前のメスを捕まえちゃうと、河からヤマメがいなくなっちゃうでしょ? だから、卵を持ってるヤマメはリリースするのが釣り人のマナーなのよ」
「なるほどー。ひとつ賢くなりました」
にこっと笑って、ケイトはうなずいた。納得した様子だった。
「わかればよろしい」
さて、そろそろ一旦休憩にしてお昼ご飯にでもしようか、と言おうとした時である。
エリスは川の上流を見ているケイトの表情が、まるで別人のようにシリアスなのに気がついた。
「どうしたの? ケイト」
「……あぶない!」
ケイトは短く、だがはっきりと警告を発した。
三人が一様に、上流を見る。
「!」
「あれ!」
北斗が指差した先には、川の流れに飲み込まれ、溺れながら流されている子供の姿があった。
銀河たちはその子供に覚えがあった。朝方、もっと上流のほうへ行く、と言っていた家族連れの幼児である。
「やばい! この先はもっと流れが速くなるぞ!」
銀河の判断は速かった。
迷うことなく、川に飛び込む。
「北斗!」
「わかってる!」
北斗は銀河を追って飛び込むようなことはしなかった。
代わりにテントへと走り、飲み物が入っていた空のクーラーボックスをつかみとる。
(間に合って……くれよ……!)
ライフジャケットを着ているとはいえ服に水が染みこんで重く、おまけに準備運動もしていない。運動神経バツグンの銀河でなかったら、急流に足を取られて共倒れになっていたかもしれない。
川の流れは予想よりも速い。
ケイトが警告を発してくれなければ、間に合わなかっただろう。
銀河は四肢を動かして、子供の元へと泳ぐ。
(あれだ!)
子供はすでに水を飲んで意識を失っているようだった。一刻の猶予もないが、ある意味ではありがたい。救助者に抱きついてきて、共倒れになるリスクはないということだからだ。
手を伸ばし、子供を抱きかかえるようにしてホールドする。首を思いっきり水の上に出して、叫んだ。
「たのむ!」
もはや水上の状況はうかがい知れない。いつ自分も流されるかわからない。だが、声は届くと信じた。意図は伝わると思った。
「銀河!」
聞き慣れた声がした。
銀河がこの広い宇宙で一番、信頼する声だった。
その声がする限り、どんなことでもできると思った。
何かが投げ入れられた。水が、揺らぐ。
そこに向かい泳いだ。
「よっしゃ!」
投げ込まれたのは、クーラーボックスだった。それに片手でしがみつく。当座の浮きとしては十分だった。銀河と子供、ふたりを水上に保つだけの浮力はある。
「つかまって!」
川岸から、エリスがロープを投げた。
迷うことなく、銀河はそれを掴む。
あとは、ロープを北斗たち三人が全力で引っ張るだけだった。
* * *
バチバチと、焚き火が赤い炎を上げていた。
「へへ、あんなに感謝されると悪い気はしねえな」
銀河はパンツ一丁で鼻をそびやかした。服は、焚き火の側で乾かしている。
「親御さんたち、泣いてたね」
「そりゃそうよ。一歩間違えばどうなってたかわからないんだもの」
「助かって良かったよ。前に父さんがTVのニュースでクーラーボックスが浮かぶって言ってたのを覚えてたんだ」
「何が役に立つかわからねえなあ」
はははは、と一同は大いに笑った。
「あのね」
不思議そうに、ケイトが聞いた。
「さっき、どうして銀河は飛び込めたの?」
「ん? そりゃ、助ける人がいたからさ」
「でも、北斗とエリスが助けてくれなかったら、銀河も溺れていたかもしれないわ」
「そりゃ、信じてるからな」
「信じてる?」
ケイトはきょとんとした顔をした。
「ふたりなら、必ず上手くやるって信じてる。トモダチだからな」
屈託なく銀河は微笑んだ。
不思議なことに、今はドギマギせずに、ケイトと話すことができた。
「ケイトだってロープを引いてくれただろ? それがトモダチってことだよ」
「トモダチ……」
その言葉を、ケイトは何度か反芻している様子だった。
「私たち、トモダチ?」
「もちろん」
「決まってるじゃない」
「あったり前だろ」
三者は三様に、ケイトの問いに笑顔で答えた。
きっと大人になっても、四人はこの日のことを忘れないだろうと思った。
焚き火のはぜる音と、四人の笑い声がずっと続いていた。
「トモダチ」
ケイトはもう一度、その言葉を繰り返した。
それはまるで、宝物を見つけたような、そんな微笑みだった。